こんばんわ。ひかるです。
いきなりですが、本編をお休みしてちょっと妄想ネタです。
あいかわらず自由で申し訳ありません。
「さむ……。」
自分を抱きしめるようにして寝ている如月の腕をほどき、アキはベッドから立ち上がる。
ベッドの下に散らばる服の中からワイシャツに手を伸ばし、羽織ると1つ2つボタンをとめた。
そのワイシャツはアキにとっては少し大きく、腕をまくりながら窓際へと歩く。
掃き出し窓に手を当て外を見ると、空から白いものが落ちてくるのが見えた。
広いベランダは、半分ぐらい雪で埋もれている。
「結構積もっているな。」
いつのまにか背後に如月が立っており、アキがついているのとは逆側の窓に手をつき外を覗き込んだ。
驚いて振り返るアキの頬に手を添え、アキの顔をぐいっと自分へと向ける。
「あ……。」
そのままアキの唇を自身の唇で塞ぎ、空いている手でアキの腰を引き寄せる。
身体を捻られバランスを失ったアキが如月の胸に手をつき、うっとりと目を閉じた。
雪が都会の喧騒を包み込み、音のしない世界を作る中。
そこにはまるで自分たちふたりしかいないようで。
世界に2人だけ。それは心細いのだろうか。それとも幸せなのだろうか。
アキはそんなことを考えながら、如月と唇を重ねていた。
如月がアキの腰に回した腕に力をこめ、アキを仰け反らせるようにすると、開いた襟元に唇を落とした。
「あ……っ。…んっ。」
わざと音を立てるように首筋に吸い付き、ほんのりと紅くなったそこを舌でこそげ取るように舐めあげる。
「ちょ……きさ…らぎっ。」
如月の胸を押し、襟元の合わせ目を手で寄せながらアキは距離をとるように窓ガラスに背中をつけた。
ペアガラスとはいえ外は雪景色だ。ひんやりと背中から冷やされていく。如月に熱くされたカラダが。
「朝っぱらからなにすんだよっ。っていうかお前まっぱかよっ。」
「私のシャツはお前が着ているからな。なんだ?そんなに私に包まれたかったのか?」
如月はニヤニヤと笑いながら、窓ガラスに手をつき、そのままアキの顔を覗き込むように上体を倒し、肘まで窓ガラスにつけた。
そんな如月の余裕の笑みに、アキは赤くなりながら抗議する。
「これしかなかったんだよっ。お前昨日帰ってくるなりいきなり玄関で俺の身ぐるみ剥いだじゃねぇかっ。」
夕べ如月が帰宅すると遊びに来ていたアキが玄関まで迎えに出てきた。
『メシつくっといた。風呂も一応入れてあるけど、どっち先にする?』
『定番は"それともワ・タ・シ?"だろう?』
『はぁ?何言って……何すんだっ。なに脱がせてんだよっ。』
しかし如月にはわかっていた。アキがこういうしゃべり方をして抗議をするときは恥ずかしがっているだけだということを。
「アキ……。」
如月の囁くような甘い声に、アキの躯がズクンと反応する。
「きさ…らぎ……。」
顎を少し上げ、唇を少し開き、目を少しだけ伏せる。
少しだけ……じゃない。たくさん如月がほしい。
アキはそんなことを考えながら、如月の唇を待った。
しかし---
「……っくしょいっ。」
「………。」
背中からくる冷えに、思わずくしゃみをしてしまう。
如月は中断されたその行為に、無言で抗議する。
「しょ、しょうがねぇじゃんっ。さみぃしっ。」
「………。」
「しっかし雪積もったな~。雪だるまでも作る?」
「………作ったことなど、ない。」
如月の言葉にアキは目を丸くする。
「じゃ、作ろうぜっ。その前に服着ねぇと。」
「別に雪を丸めるだけだろう?何が楽しいのだ?」
「そんなこというなよ。楽しいって。ほらっ。如月も服着ろよっ。」
憮然とする如月を追い立てるように服を着させ、ベランダに出て一緒に雪だるまを作る。
握りこぶしぐらいの大きさの玉をふたつ重ね、その出来に"うん"と頷くと、横にある如月の作った雪だるまを見た。
すこし不格好な雪だるまに思わずぷっと吹き出す。
「……なんだ?」
如月が不機嫌そうにアキをにらむと、「別に」と言って自分の作った雪だるまを如月の雪だるまの横に置いた。
「なんか、仲良さそうに並んでる。」
アキが照れながらも笑いながらそう言うと、またくしゃみを1つした。
「中に入るか。」
アキの背中に手を添えて、室内へと入った。
---翌日---
アキは再び如月のマンションに遊びに来ていた。
久々アキのつくったハンバーグが食べたいとリクエストされたためだった。
スーパーの袋をキッチンカウンターに置き、ふと窓の外を見る。
昨日作った雪だるまは---まわりの雪さえも影も形もなかった。
「今日、天気よかったもんな……。」
そう言ってため息をついた。
スーパーの袋から冷凍の野菜ミックスと揚げる前のポテトフライを取り出し、冷凍庫にいれようとその扉を開いた。
「………。」
アキはパタンと冷凍庫の扉を閉める。
今見た光景を理解するまでに数秒かかり、そして理解した後くすっと笑った。
その日の食卓を目の前にして、如月は目を見開いた。
ハンバーグに、ハンバーグよりも量が多いのではないかと思うほどの野菜ミックスのつけあわせ。そして野菜ミックスのスープに、野菜ミックスの炊き込みご飯。そして山盛りのポテトフライ。
「……アキ?こんなに食べれんぞ。」
「いいから食えよ。いただきまーす。」
そうピシャリと言って、アキは食べ始めた。
(だってしょうがねぇじゃんか。冷凍庫、使えないんだし。)
アキはそう思いながら、先程見た光景を思い出す。
開けた冷凍庫の扉。
庫内に並ぶ2つの雪だるま。
ピタリと寄り添うように置かれた、雪だるま。
それを思い出し、思わずふふっと笑う。
「何をいきなり笑い出している?いやらしいやつだな。」
「ちげーし。」
(如月もかわいいとこ、あんじゃん。)
そう思うと、思わず目尻が下がる。
「……なんだか不愉快だ。」
「いーからはやく食っちまえよ。」
アキは笑いながら、ごはんを口に運んだ。
雪の降る街 完
ふたたび登場のひかるです。
途中で気が付いてはいたんですが、冷蔵庫の型が古め…ですかね?
いや、きっと無〇良品とか、もしくは外国製の冷蔵庫とか……
イメージは横開きの冷凍庫の中に、ちょこんと2つ並んでおいてあるかんじでした。
えへへ←わらってごまかしてみる
今日は遅刻してしまってすみませんでした。
あ、昨日はお休みしてしまってすみませんでした。
ではでは~(^^)/
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