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甘いも、せつないも、すべての想いはあなたと共に・・・
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【アレキサンドライト番外編】君への願い #02




side アキ




目の前に立つ菊乃さんは、この暑さだというのにどこも着崩れた様子がない。

襟元掴んでパタパタとやってる俺とはエライ違いで、楚々として爽やかでさえあった。

「なんか菊乃さんだけ、高原の避暑地にいるみたいっす」

「え?」

驚いたあと柔らかく微笑む。ほんとこの柔らかい物腰、和むなぁって思った。敦彦から聞いてる菊乃さん像とはかけ離れてる。

『菊乃は長くご老体の参謀を務めた人物だ。笑顔の裏で綿密に計算されているぞ』

まったく敦彦もひでぇこといいやがる。この菊乃さんを見て、なんでそんな事が言えるんだか。

「買い物っすか?」

日傘を持つ手とは逆の手に紙袋がいくつか下げられているのを見て言った。

「ええ、そうなんです。ちょうど終わったところでこれから戻るところですの」

「荷物、持ちます」

そう言って恐縮する菊乃さんの手から紙袋を受け取った。

「そんなに重いものでもないのですが――――ありがとうございます。お言葉に甘えます」

そう言ってにっこり笑うと、俺が今上がってきた階段を降りていった。

「井上様はなにか御用ではなかったのですか? よろしいんですの? お付き合いいただいて……」

電車に乗り、ちょうど1つ分空いていた席に菊乃さんに座ってもらった。

俺だけを立たすわけにはいかないって言ったけど、そこはほら、男としてガンと譲らなかった。この路線、やたら左右に揺れるし。草履じゃ危ないって。

「俺は雑誌を買いに来ただけだから。いつでも買えるし」

近くのコンビニでは売ってない、ちょっとおカタメな雑誌。龍のところの経済誌に敦彦が携わった仕事の話が載っているって聞いて、買いに来たんだ。

ちなみに情報源は敦彦じゃない。あいつはそんなことひとっことも教えてくれない。

『明日発売の号に、敦彦の記事載ってるよ。お買上げ、ありがとうございます~』

と、編集長である龍自ら売り込んでくるんだ。

で、それをノコノコと買いに行く俺。

まんまとノせられてる。

「もしかして、如月様の記事ですか?」

「えっ?!」

図星過ぎて、思わず顔が赤くなる。

「なんで――――」

なんでわかったんだ? 雑誌っていっても、他にいくらでもあるじゃんか。

「ふふ。"なんでわかったんだ?"というようなお顔ですね。あの駅には大きな書店がございますし、わざわざそのお店にいらっしゃるということはご近所のコンビニや書店には無いような、専門的な雑誌ではないかと思いました。あっていましたか?」

俺は菊乃さんを見ながら口をパクパクさせた。

『菊乃はきれるぞ』

うん。キレッキレだ。敦彦が言ってたことも、あながち嘘じゃないのかもしれない。

「わたくしもお館様も読ませていただきました」

「え? 今日発売って聞いたけど」

「お館様のところには、雑誌を含めすべての書籍が発売前に送られて参りますので」

すげぇ。思わず目を丸くする。

「私が目を通して、お館様に有用なものの要旨をおまとめするのです。でもお館様は如月様の記事はわたくしの要約ではなく原文を読まれるのですよ。かわいくて仕方がないのでしょうね」

「かわいい?! 敦彦が?」

「ふふ。ええ、会えば憎まれ口ばかり叩きますが、とても楽しそうです」

じぃちゃんにかかれば、あの敦彦もただの若造か。それに菊乃さんにとってもそんな印象をうける。

菊乃さんって、いったいいくつなんだ?

参謀とか、頭がキレるとか、そんなことよりもまずそれが気になった。

――――訊けねーけど。







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 君への願い | Comments(2) | Trackbacks(-)

Comment

拝読させていただいております
編集
いつも、拝読させていただいております。
素敵な時間をありがとうございます。

最近、思う事ですが、この作品が映像化される折には、是非、菊乃さんを演じさせていただきたい!!
菊乃さんの大ファンなんです。
尽くし愛されるそんな人生、素敵です。
これからも楽しみにしております。
季節の折、ご自愛ください。
2017年07月12日(Wed) 22:08
donarubon様
編集
はじめまして。菊乃と申します。
まあ、わたくしを演じてくださるのですか? 大変光栄な事でございます。ありがとうございます。

初回の登場は名前もなかったぐらいですのに、このように嬉しい言葉をかけていただいて幸せ者でございます。
『BLに女性キャラを出すとクレームが来ることがある』という話を耳にして怖気づいたひかる某が喜んでいるかと思います。代わってお礼を申し上げます。
ありがとうございました。

よろしければまた遊びにいらしてくださいませ。ごきげんよう。


2017年07月13日(Thu) 07:39












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