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甘いも、せつないも、すべての想いはあなたと共に・・・
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【アレキサンドライト番外編】君への願い #09



side アキ



「じぃちゃん。敦彦も来るって言ってるんだけど、いいかな?」

敦彦からこっちに向かっているってメールが来て、俺はじぃちゃんにお伺いを立てた。

「如月が? しょうがないの。泊めてやるわい」

そういってまんざらでもなさそうな顔をして、髭を撫でている。

「俺、菊乃さんにも言ってくる」

菊乃さんはちょっと前に、用事があるからと言って部屋を出ていった。

たぶん台所かなって思って、長い廊下を台所に向かって歩く。

台所につながるくもりガラスの引き戸を引こうとして、手が止まった。中から人の話す声がしたからだ。

話を聞いちゃ悪いから出直そうって思って、出した手を引っ込めて踵を返そうとした。その時だった。

「そうですか。それではヤナギ。如月様の身辺――――」

えっ? って思って、うしろを向こうとした身体を反転させ台所に向ける。その時肘が戸にぶつかって、ガラスの揺れる派手な音がした。

「あとでかけなおします」

そう言って俺に向かって足音が近づいてきて、目の前の戸がガラガラと開かれる。

「……井上様」

「菊乃さん、今の電話って? もしかしてさっきの運転手、見つかったとか?」

「なんのことでしょう? それより何かわたくしに御用でしたでしょうか?」

あくまでもシラをきる菊乃さん。今、敦彦の名前が出たよな? さっきのと何か関係があるのか?

でも菊乃さんに尋ねても、きっと菊乃さんは教えてくれない。

無言でじっと見つめて、小さくため息をついた。菊乃さんはぜったい話してくれない。さっきの拐われそうになった件だって、じぃちゃんには話をしていない。

『まだ憶測の域を出ておりませんので。詳細がわかり次第、お館様にはご報告致します」

嘘だ、って思った。詳細がわかっても、じぃちゃんの心を煩わすことなく秘密裏に処理する気だって思った。

"ですから、井上様はなにも気になさる必要はございません"

そう、言外に言われている気がした。

たぶん菊乃さんは、ものすごく優秀なんだろう。

こうやってじぃちゃんに関わるあらゆる雑事を一気に引き受けているんだ。いろいろな、"雑事"を。

『不用心ですこと』

さっきの菊乃さんの言葉が、重くのしかかる。

あんな指輪。いつも護身用に身につけているんだ。どんだけ危ない目にあってるんだよ。でもそれを特別なことだと思っている雰囲気はない。

それを証拠に、菊乃さんも、あのヤナギって呼ばれていた男の人も、平然と対処している。


菊乃さんが、笑顔で俺を見ている。でも、目の奥が笑っていない。

なんだか俺の知っている菊乃さんじゃないみたいだ。

これが敦彦の言っていた、"参謀"の菊乃さんなのか?


「井上様?」

菊乃さんの声に我に返って、取り繕うように話し始める。

「敦彦が、こっちに向かってるんだ。じぃちゃんにはOKもらったんだけど、今日2人で泊まってもいいっすか?」

菊乃さんが"えっ"て顔をした。なんかまずいことでもいったか?

「井上様、申し訳ありませんが本日はちょっと……」

と、その時、なにやら電子音がした。

菊乃さんが懐からスマホを取り出すと、画面を見てため息をつく。

そして画面を俺にチラッと見せた。

スマホにはじぃちゃんちの1つめの門が映っていて、そこには敦彦の乗った車があった。

どうやら門に近づく者がいると菊乃さんのスマホに通知が行くみたいで、呼び鈴をおそうと思ったのか、ちょうど車から黒木さんが降りてこようとしたところだった。

「今、門を開けます。お車の中でお待ちくださいませ」

菊乃さんがそう言うと、車から降りようとしていた黒木さんがカメラに向かっておじぎをした。

"来てしまったものはしょうがない"

菊乃さんの背中がそう言っているように見えて、俺はちょっと戸惑っていた。






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