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甘いも、せつないも、すべての想いはあなたと共に・・・
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【アレキサンドライト番外編】君への願い #12



side アキ




「菊乃さん! 黒木さん!」

玄関の戸を勢い良く開けると、菊乃さんがほんの少しだけ驚いた顔をして振り返った。

「黒木様ですか? ちょうど今お帰りになりましたけれど」

そう言って車の走った方向を見る。

もうそこには車はなくって、遠くで坂を下っていくエンジンのカラカラとした音だけ聞こえた。

「菊乃さん、俺――――」

「さて、明日は七夕ですし、お素麺を茹でましょうか」

「き……」

「今日はそれを買いに出たのです。職人が作った、100%手延べそうめんですよ」

「――――え? 職人?」

思わず食いつくと、菊乃さんがニコニコとしながら職人さんについて話してくれた。

「脚を悪くしておいでですので、ご挨拶も兼ねてわたくしが毎年取りに伺っているのです」

そう話しながら台所につくと、風呂敷づつみを解いて桐の箱の蓋を開けた。

「キレイっすね」

ため息を漏らしながらそう言うと、菊乃さんが満足げに微笑む。

「ふふ。食すとまた、ため息がでますのよ」

そう言っていたずらっぽく笑うと、いったん蓋をした。

「それでは井上様。お出汁をとりましょうか。手伝っていただけますか?」

「もちろんっす!」

半袖だけど腕をまくる動作をして、手を洗いにシンクへと行った。

――――って、あれ? そこですっかり話をはぐらかさたことに気がついた。

うめぇなぁ。

手を洗いながら、うまいことききだせないものか、と、色々考えた。

でも、さ。

俺が色々考えても、菊乃さんにはかなわない。それだったら――――

「菊乃さん。教えてください。さっきの男はいったい何者だったんですか?」

ストレートに訊くしかないと思った。

「……」

菊乃さんは目を丸くして俺を見たあと、ぷっと吹き出して笑いだした。

なんか、そんな笑い方をするのが珍しくて。

「菊乃さん?!」

「し……失礼しま……したっ」

笑いがおさまらないのか、息継ぎをしながら話している。

「本当に、井上様らしい。真っ直ぐな訊き方」

しょーがないじゃんか。こうしか訊けないし。

「わたくしの負けです。ご報告致しますね」

菊乃さんはそう言うと、すう……と深呼吸をした。



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