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甘いも、せつないも、すべての想いはあなたと共に・・・
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【アレキサンドライト番外編】君への願い #20



side アキ



「じぃちゃん、入るよ」

部屋にいるじぃちゃんに廊下から声をかけると、中から「おう、小僧か。入れ入れ」と軽い返事が返ってきた。

「じぃちゃん、なんか手伝うことあ……うわっ」

勢い良く部屋の中に踏み込もうとした瞬間、床に散らばる紙に気がついて慌てて足を上げた。

バランスを崩しそうになって、やじろべえのようにフラフラと左右に揺れる。

「じぃちゃん、なにやってんの?」

「ん? 見てわからんか。字を書いとる」

「いや、それは見りゃわかるんだけど、こんなにたくさん」

正座してテーブルに向かうじぃちゃんを中心に、放射線状に毛筆で書かれた紙が床に散らばっていた。

「ちょっと頼まれ物でな。そろそろよこせとせっつかれた」

そう言いながら、次の紙を目の前にセットする。

そこで突っ立ったまんまの俺に気がついて、やっと顔を上げた。

「なんじゃ小僧。空いているところに座れ。気になって仕方がないわい」

座れって言われてもさ。

俺はあたりを見回して座れそうなスペースを探した。

じぃちゃんからはちょっと離れるけど、見つけたスペースに向かって紙を避けながら歩いていく。

「なんでそんな遠くに行く?」

そう言ってからまわりの床を見て、納得したようだった。

「小僧、すまんが適当に片してくれるか?」

「りょーかい!」

重ねても大丈夫そうな紙を集めてじぃちゃんの邪魔にならないところに腰をおろした。

そのまましばらくじぃちゃんの作業を見る。

滑らかな筆の動き。力強いハネに、一転、静に戻るトメ。

ふぅ、と息をつき筆を置いたじぃちゃんに声をかける。

「じぃちゃん、休憩?」

「そうじゃな。いささか疲れ――――小僧?!」

じぃちゃんの背後について肩を揉むと、じぃちゃんが驚いて振り返ろうとした。

「肩揉まれるの、苦手?」

「いや、そんなことはないが――――」

なにか言葉を続けようとしたじぃちゃんだったけど、気持ちいいのか無言になってじっとしていた。

「じぃちゃん、字ぃうまいんだな」

「ん? 素人の手慰みじゃ」

「でも、欲しがっている人がいるんだろ?」

そう訊くと、じぃちゃんが俺を振り返りながら気持ちよかったと礼を言って手を止めさせた。

そしてまた新しい紙を用意すると、その紙の真ん中に筆をおろした。

「小僧。これはなんに見える?」

「え? 点? ただの点だよな?」

それ以上にもそれ以下にも見えない。ただの黒い点だ。

「これをわしが龍の目だと言えば、皆口を揃えて"すばらしい龍の目だ"と賞賛するぞ?」

「いや、ただの点だよな?」

「札束を積むやつもおるじゃろうな」

「は? 点に?!」

じぃちゃんが俺の目をじっと見つめる。

「わしや如月のいる世界はそんなところなんじゃよ」

じぃちゃんはまるで俺を諭すように、穏やかな口調でそう言った。




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