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甘いも、せつないも、すべての想いはあなたと共に・・・
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【SS】真綿の足枷


こんばんは。ひかるです。遅刻してすみません。

今日はちょっと本編(番外編でも本編っていうのかしら?)をお休みさせていただきまして、SSを書かせていただきました。

Twitterをご覧の方はご存知かと思いますが、今朝方「真昼の月」のイヌ吉さん(以下、イヌちゃん)に無茶振りツイートをさせていただきました。

診断メーカーというお遊びツール(?)での診断なのですが、『タイトル』と『話の出だし』を決めるので、あとを続けましょうといった類のものです。

その無茶ぶりのお返しに、イヌちゃんが私にも同じ診断をしてくれました。その結果がこちら↓



なんだかおもしろそうな内容に、テンションが上がり、つい、うっかり書いてしまいました。

Twitterは140字までなのに、まさかの2,708字。

これは連続投稿したらTL荒らしてしまう……ということで、こちらにアップさせていただきました。
※診断結果は『フリー素材』と明記されていますので、ありがたく使わせていただきました



(前置き、長かった~)

ドS攻めは出てきませんし、そもそもエッチもありませんが、よろしければどうぞ❤
(卵焼きは玉子焼きに漢字を変えさせていただきました~)




真綿の足枷





玉子焼きのひとつも焼けないやつだった。――――あいつと出会う前の俺は。

あいつ――――みつぐとはバイト先のレストランで知り合った。俺はホールで、貢は厨房で。

たまたま、まかない飯を食べるタイミングが同じで。

たまたま、そのまかない飯を貢が作っていて。

うまいと感嘆の声を漏らすと、貢は得意げに笑った。


俺は自炊は大の苦手で、ここのバイトを選んだのもまかないが出るからだった。

そんな話をしたら、時間を見つけては俺んちで料理を教えてくれるようになった。


『ほら、手首を使って――――そう。郁弥いくや、スジがいいぞ?』

玉子焼き専用の四角いフライパンで卵を焼く俺の背後に立ち、腰に手を回しながら肩越しに俺の手元を見る。

『くっつくなよ。動きにくいだろ』

『ヤらせろよ』

『なんだよいきなり。ふざけ――――』

抗議の言葉は、貢に全部飲み込まれた。


貢から料理の腕をとれば、ただのヒトデナシだった。

人の気持ちなんてお構いなしに、無理やり抱いては満足して帰っていく。

愛情なんてかけらもない、性欲を満たすだけの行為。

そんな関係に嫌気が差して、俺は貢の前から姿を消した。




違う街に住んで季節がひとつ過ぎ、俺は俺を好きだと言ってくれた男――――瑞希みずきと付き合い始めた。

貢とは違い、優しく俺を抱く男だ。
その男のために、俺は料理を作る。
あいつに教わった料理を、あいつ以外の男に。

「今日のごはんも美味しかった。ほんと、郁弥は料理上手だよね。誰かに習ったの?」

食べ終えた後食器を片付けながら瑞希が訊いてきた。

誰にと問われ、貢の顔が思い浮かぶ。

ドキン、と、痛いほど心臓が鳴った。

「誰からも習ってない。本とか、ネットとか、そういうの見ながら――――」

『ほら、手首を使って――――そう。郁弥、スジがいいぞ?』

あいつの言葉が俺にまとわりつく。俺はそれを追い払うように頭を左右に振った。

「どうした?」

「なんでもない」

「あ、でも、玉子焼きは違うよね?」

「え?」

カチャリ、と食器が鳴った。まるで俺の動揺を表しているようだ。

「なんで? なんでそう思う?」

口に出した言葉も、心なしか小さく震えている。

「なんていうか、郁弥に対する愛情を感じたんだよね。郁弥、甘いもの好きだろう? 郁弥に喜んでもらいたいっていう気持ちがこもっているように感じたから、家の――――郁弥の家の"家庭の味"かと思ったんだ」

そう言って笑うと俺の持っていた食器を取り上げ、自分の分と合わせてシンクへと運んでいった。

愛情?
俺に?

一度だって愛の言葉なんて囁いたことのないあいつが?!


「あ……」


俺は呆然と立ち尽くした。

そうか。俺は苦しかったんだ。愛していると言ってほしかったんだ。

わかりやすい何かが欲しくて。でももらえなくて。くるしくて、せつなくて、そこから逃げ出したんだ。

あいつの不器用な愛情に気づかず、気付こうともせず。俺は――――。


ふっと頬に何かが触れ、ハッとして前を見た。

ちょっと寂しそうに笑いながら俺を見つめる瑞希の視線に、ギュッと心が痛くなる。

「なんか俺、余計なことを言っちゃったかな」

「…………ごめん」

「いいよ。郁弥のことが好きだから。郁弥も俺のことが好きになってくれたら最高だったんだけど」

「俺は――――」

反論しようとする俺の唇を、瑞希は人差し指で押さえた。

「初めて郁弥と出会った時。君はものすごく遠い目をしていて、心ここにあらずといった様子だった。どうやったら君の瞳に俺は映るんだろうかとそればかり考えていた。そんな俺の好意に対し、郁弥は歩み寄ろうとしてくれたよね。でも、できなかっただろう? そう。君の心は、あそこから離れていない。まるで真綿の足枷のように、自覚のないままそこにくくりつけられて動けなくなっていたんだ。にも、元彼にも。」

「瑞希……」

「郁弥。泣かないで」

瑞希に言われるまで、ポロポロとこぼれ落ちる涙に気づいていなかった。

「瑞希、俺――――」

「よかったね。自分の気持ちに気がつけて」

そう言って頬の涙の軌跡を消すように、指の腹で頬を擦る。

「瑞希――――ありがとう。俺のことを好きだって言ってくれて、ありがと」

涙をこぼし顔をクシャクシャにさせる俺の頭を、瑞希が優しく撫でた。

「こんないい男、そうそういないよ?」

わざとおどけたように笑いながら言う瑞希に、俺もつられて笑顔になる。

「じゃあ、行っておいで」

そう言って瑞希は握手をしようと手を差し伸べてきた。

その手を握り返そうと手を合わせた瞬間、強い力で引き寄せられる。

「みず……」

瑞希が俺を抱きしめた。

「ちょっとだけ。ちょっとだけ黙って、俺に抱きしめられてて――――」

瑞希の肩が細かく震えているように見える。

俺の背中に回されている腕に力がこもった。

そんな瑞希の背中に手を回そうとした俺だけど――――途中まで上げた手をすぅっと下ろし、そのまましばらく瑞希に抱きしめられた。







「緊張する……」

貢の部屋の前に立ち、俺はガチガチに緊張していた。

驚くだろうか。それとも怒るだろうか。

俺は大きく深呼吸して、インターフォンを鳴らそうと右手を上げる。

その瞬間 目の前のドアが開き、俺を見た貢が目を見開いた。

「貢――――その、さ……」

言葉になる前に、俺は貢に力強く抱きしめられる。

「――――おかえり」

背中に回された手にギュッと力がこもる。

俺も貢の背中に腕を回し、貢を抱きしめ返した。

「ただいま――――」

話したいことがある。話を聞きたいこともある。でも、その前に――――

「貢、好き……」

その瞬間――――俺を動けなくしていた真綿の足枷が、音もなく外れた気がした。



真綿の足枷 完




度々登場のひかるです。

貢くん。"たまたま"はおそらく計画的だったにちがいありません。ほんと、不器用ですよ……
不器用=愛おしいです。

瑞希は、なんとなくですが、自分のNLのとあるキャラに似てしまったかなーと思いつつ、やっぱり私、こういうキャラ(というか、抱きしめて想いを断ち切る的なカンジ)が好きなのねーと思いました。


長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました❤








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