BL-R18+

甘いも、せつないも、すべての想いはあなたと共に・・・
2017年10月 ≪  123456789101112131415161718192021222324252627282930 ≫ 2017年12月
TOP 君への願い ≫ 【アレキサンドライト番外編】君への願い #30

【アレキサンドライト番外編】君への願い #30



side アキ




「お待たせしました、晃さん」

菊乃さんが奥の部屋から戻ってきた。

その後ろには萩尾もいて、心なしか表情が暗く固い。

いつも俺のことをからかっている萩尾の表情とは違っていて。俺はなんだか不安になった。

ちらっと間宮を見ると、おなじような表情をしていた。でも俺の視線に気がつくとニコッと笑顔を作り、「片付けにいってきます」と、奥の部屋に入っていった。

「お世話になりました。いろいろ情報をありがとうございます」

「いや、こんな情報は岩下女史がマシンさえあればいくらでも集めることができる情報ですから。それより本当に――――」

何かを言おうとした萩尾が、言葉を飲み込む。菊乃さんが萩尾を見たからだ。

伏せ目がちの状態からから萩尾にゆっくり視線を向ける。

その静かな迫力に、萩尾はのまれたんだ。

でもそれは時間にしたら一瞬のことで。すぐにいつもの笑顔になり、礼を言って部屋をでる。

「晃さん、お買い物付き合っていただけますか?」

「――――へ?」

買い物?

このタイミングで?

不思議に思う俺のマヌケな顔を見て、菊乃さんがふふっと笑って車に乗り込んだ。




「ああ、楽しかった」

俺はつかれたっす。菊乃さん。

何を買うんだろうかとついていったら、俺には無縁のお高そうなお店をはしごして"服""靴""帽子""鞄"とひと通り買い揃えた。今横にいる菊乃さんは、派手な女優帽をかぶりサングラスをしている。

「似合いますか?」

「はい、とってもお似合いです」

思わず『店員か!』っていう受け答えをした。だって本当に似合っていたんだ。でもさ、普段とのギャップが。

普段の菊乃さんは控えめな化粧に清楚な和服姿だ。

でも目の前にいるのはお店の人にバッチリメイクをされ、真っ赤な口紅が似合う女優然とした姿で。

周りの通行人も芸能人かしらって小声で話しながら注目している。

ちなみに荷物をたくさん持っている俺は、付き人かって言われてた。ちげーし。でも、菊乃さんが女優に見えるっていうのはわかる。

でも、こんな派手な格好してていいわけ?

菊乃さんは車にのりこみ、俺もトランクに荷物を積め助手席に乗り込んだ。

車体の色はいつの間にか赤に戻っている。

今の菊乃さんの格好にバッチリあっている。あってるけど、さ。何回も思うんだけど、こんなに目立っていいわけ?

菊乃さんは俺に帽子を渡すと、スムーズにクラッチをつなぎ車を発進させた。

車は晴海通りに出て、なおもまっすぐ進む。

日比谷まで出ると、今度は皇居の周りを何回か回った。

「菊乃さん?」

あてがあるような、ないような。そんな運転に声をかけると、菊乃さんはルームミラーをチラッと見て車を路肩に寄せた。

「晃さん。迎えの車が来ました。向こうの車に移りましょうか」

そう言ってドアに手をかける。

後ろを見ると同じように路肩に停まった車から、ヤナギって呼ばれてた人が降りてくるのが見えた。

「トランクの荷物を出してくださいます?」

そう言って菊乃さんはトランクを開けるレバーを引く。

「りょーかいっす」

車から降りてトランクから荷物を下ろす。バタンとトランクを締めると、車が急発進した。

「えっ?! 菊乃さんっ?!」

「井上様っ。はやく乗ってください!」

後部座席のドアを開け、荷物ごと俺を押し込みドアを乱暴に閉めると急いで助手席に乗り込む。

「出せっ」

ヤナギが運転手に言うと同時に車を出そうとしたけど、ちょうど信号が変わってしまって出るに出られなかった。

あっという間に菊乃さんの車が見えなくなる。

「アニキ、どうします?」

運転手の男が助手席のヤナギに情けない声で尋ねた。

「いいから追え」

「追うったって、どこを……」

「そんなことは俺にもわかんねぇよっ。いいから、追えっ」

菊乃さん。

俺は胸元をギュッと掴み、菊乃さんの乗った車が消えていった方をじっと見つめた。






↓よろしければ1日1回クリックしていただけるとうれしいです。更新の励みになります♥
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ

web拍手 by FC2

エラーになる方は、こちらからお試しくださいませ↓
うちのダンナが1番!攻めキャラ投票

 君への願い | Comments(0) | Trackbacks(-)

Comment













非公開コメントにする