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【アレキサンドライト番外編】君への願い #37



side 如月




「しかし、めずらしいですね。このような場にご老体がいらっしゃるなど」

これからレセプションが始まろうとしている大きな会場で、登壇の準備をしながら横にいるご老体に声をかける。

「来るつもりはなかったんじゃ。うまいこと当日しらばっくれようとしていたのに、菊乃がおらんのでな。しらばっくれることも出来ん」

ふんっと鼻息を大きくつき、腕を組んだ。

「いない?」

「小僧もろとも奥座敷に放り込んだのに、脱走しおったわい」

奥座敷――――噂には聞いていたが、本当にあったのか、と、驚いた。しかもそこにアキも入っていたなど――――。

……?

「ということは、今は二人とも外に?」

「うむ。ただ小僧は保護したとヤナギから連絡があった。しかし菊乃は振り切りおったらしい。まああやつらが菊乃を出し抜けるなどと思わんが――――あのじゃじゃ馬め。忌々しい」

"忌々しい"という言葉は、"心配だ"と聞こえる。

言葉にこそ出さないが、心底心配しているのだろう。

歳をとると、こうも意固地になるものなのか。あきれながらそう思っていると、ポンッとアキに言われた言葉が頭に浮かぶ。

『敦彦とじぃちゃんって、そっくりだよな』

どこがだ。私はこんな妖怪でも狸でもないぞ。

「如月。今、心の中で、わしの悪口を言いおったな」

「言っておりません」

ジト目で見上げるご老体に、私はスーツを直すフリをして視線を外した。




今日のレセプションは、かなり大掛かりなものだった。

政府の鳴り物入りで、我が社でも本年度の1、2を争うほどのプロジェクトだ。

まわりを見ると、国会の答弁に立つような輩がウロウロしている。にこやかな笑みを浮かべながらも、腹の中では札束を舐めるように数えているような連中だ。

もちろん、すべての政治家がそうであるとは言わない。言わない、が。

ここにいる連中は利権目当てで来ている。

隙きを見せれば、骨の髄までしゃぶられる。そうならないために、脇は固めるし、お互い利用しあえばいいと思っている。


そんなことを考えていると、会場が暗くなり、ステージにライトの光が集まった。

壇上には進行を務める人間が上がり、このレセプションの流れを説明している。

ふと横を見ると、ご老体がいつのまにか自分から数メートル離れた出入り口付近にいて、黒津くめの男たちと話をしていた。

あれは、ヤナギにドジョウか?

アキを保護したと言っていたのに。アキも会場に来ているのか?

あたりを見回したが、アキの姿はない。

視線を再び三人に戻すと、そのただならぬ雰囲気に、胸騒ぎがして胸元からスマートフォンを取り出した。

レセプション用に予め電源を切っていたのだった。

電源を入れ、焦る気持ちを抑えながら立ち上がるのを待つ。

やがてスマートフォンが立ち上がるのと同時にメールを受信した。

メールはアキからだった。

"関って人、知ってる?"

短くその一文だけ。

その後に続く言葉もなければ、追加送信されたメールもない。


――――メールできる状況にいないということか?!



全身の、毛穴という毛穴が全て開いた。

ゴゴゴ……と、怒気が渦を巻いて天に上っていく


怒気をはらんだまま三人に近づくと、気がついたご老体が手を前に出して、"こちらに来るな"というジェスチャーをした。

しかし私は関係なしに3人のもとへと歩み寄る。

「何しに来た、如月」

「アキはどこです?」

「戻れ、如月」

「アキが関氏と接触したようです。どういうことですか? これは」

『戻れと言っておる、如月」

まるで真剣を喉に突きつけられたようだ。ぴたりと動きが止まり、冷たい汗が頬を流れる。

「今調べさせている。お主がここで焦っても、なんの役にもたたん。ほら、出番のようじゃぞ」

顎でクイッとステージ上を指した。

ステージにいる進行の人間が、私の名前を呼んでいる。

「ほら。胆力を見せろ」

そう言ってぐいっと背中を押した。








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