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甘いも、せつないも、すべての想いはあなたと共に・・・
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【アレキサンドライト番外編】君への願い #39



side アキ




あ……

目の前にしゃがんだ男――――それは。

「ひさしぶり。相変わらず兄さんにいじめられてる?」

そう言ってニッコリと笑うその人は、三好センセこと三好 明彦。敦彦の実の弟だ。

姓が違うのは、施設で暮らしていた二人が別々の里親に貰われたから。誤解や不運などが重なって敦彦のことを恨んでいたけど、いろいろあってわだかまりはとけた。

でも、二人とも素直じゃないし、もういい大人だからかもしれないけど、べったり"仲良し!"っていう状態じゃない。

俺がこの人のことを"三好センセ"と呼ぶのは、俺の学校に臨時教師として潜り込んだことがあるからだ。まったくメチャクチャだよな、この人。


「しゃべれないだろうから、勝手に話すね。と、その前に。症状を早く改善させる為の薬があるんだけど――――飲ませてもいいのかな」

そう言って水差しからコップに水を注ぎ、俺の前に錠剤と一緒に見せた。

そりゃ飲みたい。飲みたいに決まってるじゃんか。なんでそんなこと、わざわざ訊くんだろう。

「しょうがないよね。うん。しょうがない」

そう言ってニヤニヤと笑うと、俺ににじり寄ってくる。

え? ちょっと待て。何する気だ?

なんか、イヤな予感しかしねーんだけど。


「今、アキくんは嚥下できないからね。しょうがないよね」

うんうんと頷き錠剤を自分の口にポンッと放り込むと、水を口に含み――――。


!!!!!


重ねられた唇から、冷たい水が流れ込む。錠剤は喉の奥へと運ばれ、そのまま俺の中に落ちていった。

って、おい。もう薬飲めたぞ。いつまでキスしてやがるんだ。

んっ。

ちょ……舌……からま……せ……るなっ。

吸いあげ……んっ

「アキくんの唇、美味しすぎてつい夢中になっちゃったよ」

って、唇を拭いながら悪びれもせず言ったのは、さんざん俺の口内を貪った後だった。

「表情が戻ってきたかな? 蕩けた顔をして、そそられるね。関さんの依頼どおり、このままいただいちゃおうかな」

ふざけんなっ。おい、妖しい目をして俺の頬を撫でるの、やめろ。

「大丈夫だよ。そんなことしたら、兄さんに殺されるからね。俺だってまだ命は惜しい」

そう言って俺を抱き上げると、ベッドに寝かせてくれた。

「な……ん……」

口がほんの少しだけ動くようになってきた。それでもまだちゃんと喋れない。

「ん? あぁ、"なんで?"かな? えーと……。ああ、"なんで俺がここにいるのか"だね?」

そう、それ!

「兄さんと――――株式会社PSMの代表である如月敦彦と、ミヨシグループの代表である俺が兄弟ってのは、公にされてない。兄さんと話して、このまま――――わざわざこちらから発表するようなことはしないでおこうということになった。社会的影響が大きいからね」

どっちの会社もでけーからな。

俺は黙って三好センセの次の言葉を待った。いや、しゃべれねーから、黙ってもなにもないんだけど。

「もともとライバル関係にあった会社だし、兄さんの会社に出し抜かれてうちの会社が痛手を被ったのは周知の事実だしね。俺が怒っていたのはみんな知ってるから、敵対していると思わせておいたほうが得策だと思ったんだ」

得策? なんで?

「ん? ああ、"なんで得策か?"だね? 敵対関係にあるとね、快く思っていない人間が相手側に擦り寄るんだ。共通の敵=仲間だとして共闘するために」

なるほど!

「だから関さんは、兄さんの1番の敵対関係にある俺に声をかけたってわけ。俺だったら私怨コミコミで適任じゃないかって。ほらね、こういう時、便利でしょ?」

なるほどって思った。思ったけど、それじゃいつまで経っても、ふたりは仲の良い兄弟に戻れないんじゃないのかとも思った。

この世でたったふたりの血のつながった兄弟なのに。


「まあ、今でも敵対してるっていうのは、当たらずとも遠からじってとこかな」

三好センセの声に我に返る。

「敵対といってもいろいろある。兄さんの会社を叩くんじゃなくて、さらにその上をいけばいいと思ってるんだよ」

敦彦の真似をしたがっていた三好センセの言葉とは思えない、すげー前向きな意見にちょっと感動した。

「じゃあアキくん。始めようか」

そう言って俺が寝ているベッドに片膝をついた。

おい。

何を始めようとしてやがる。

ベッドがギシリと音を立て、俺の心臓も大きな音を立てた。





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